伝統の 本陣・ゆべしが 息づく町



 

■ 宿場町の駅

 

 矢掛(やかげ)町は岡山県の南西部に位置し、町の周囲を比較的低い山々がとり囲み、中央を清流・小田川が流れ自然溢れる長閑な里山で有る。町の人口は1.5万人余り、米作を中心とした農業と果物栽培、それに観光の町でもある。

そんな町の玄関口が、井原鉄道井原線の矢掛駅である。

岡山駅や倉敷駅からはJR伯備線で、清音駅で同線に乗り継ぐことになる。その清音からは20分ほどの距離だ。

 

宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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ここは同線開業と同時に出来た高架駅で、列車交換が可能な12線の島式ホームを備えている。

この町の観光の玄関口となる大きな黒瓦葺の和風駅は、宿場町・矢掛をイメージしたもので、井原線では珍しく有人駅だ。

駅構内には出札をする駅務室に併設して、お土産販売の店もあり、ここでは観光案内所の機能も担っている。

何れも委託業務によるものらしい。

 

 駅舎を入るとホームに上がる階段がその西端にある。そこを上がるとかなりの高台になっていて、周りには高層な建物は何もないのでホームからは町を取りまく山々や、田んぼ交じりの町並みを見下ろすことが出来る。

 

宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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 駅舎を出ると広いロータリーがあり、パークアンドライド用の駐車場がある。

その端に昔の時の鐘を告げる鐘撞堂を模したような作りの時計台が石の台座の上に建っている。

それを見て、駅前から延びる道を南に向けて歩き、寺の建ち並ぶ通りを横切り、更に先に進むと東西に行き交う商店街の道に出る。駅からは600mほどの距離で、その通りが旧山陽道。この町の観光の中心的な場所だ。

 


 

■ 宿場町・矢掛

 

 江戸時代初期に参勤交代が制度化されると、この地は宿場町としての整備が進められた。

元禄の頃には街道に沿って東西に約800メートルの町並が形成され、それは北側に95軒、南側に102軒の屋敷がウナギの寝床と呼ばれる短冊形の地割りで並んでいたという。

通りに面して間口の狭い妻入りの家屋は、当時の姿を今日に引き継いだものだ。

一般的に古い街道の町並では、平入りか、妻入りどちらかに統一された家屋が建ち並んでいることが多いが、この町並はそれらが混在している。そんな黒瓦白壁の重厚な建物が立ち並ぶ姿は、岡山県の町並み保存地区に指定されている。

 

宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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 旧山陽道は今本陣通と呼ばれている。その通りの中程にひときわ目を引く屋敷が旧矢掛本陣石井家(有料公開中)である。

街道を参勤交代で行き来する西国大名や公家、幕府の高級役人などの宿泊・休憩施設として使われたところで、約1000坪もの広大な敷地に江戸時代中期以降に建てられた母屋や蔵などが残されている。

 

そこから300mほど離れたところには、脇本陣・高草家(有料公開中)の白壁・黒瓦屋根の堂々とした住宅がある。

600坪という敷地には、母屋、蔵座敷、内倉などを配している。今日の建物類は、その後金融業で財を成し周辺を買い足して増改築を繰り返し、広げたものだという。

 

宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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この町の最大の特徴は、300年以上変わらない町並に、旧矢掛本陣と脇本陣が何れも当時の姿を留めて残されていることで、これは全国的に見ても極めて珍しい事である。何れも国の重要文化財に指定されている

その他にも旧山陽道の本陣通りには、江戸時代以降の建物も多く残されており、それらに混じって古い商家や民家を改装した町屋交流館や、イベントスペース、町かどギャラリー、お土産屋、食事処、カフェ、宿泊施設等も多くあり町歩きに彩りを添えている。

 

宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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■ 伝統菓子・ゆべし

 

宿場町・矢掛の名物の一つが、柚子をベースに作られる「ゆべし」である。

元々柚子は柑橘類の中では、手間がかからず簡単に栽培が出来るとあって、かつては藩財政立て直しのため、備中藩の山田方谷などは栽培を奨励した歴史がある。その為この地方では比較的良く知られた果物で、お菓子としてだけではなく、消化を助け、二日酔いにも効果が有るとされることから料理にも使われたりしている。

 

この地の本陣石井家に残された沢山の古文書の中には、古くは天正年間豊臣秀吉が島津征伐で立ち寄った最、この地の城主が献上したとの記録が残されていると言う。また九州・薩摩藩から徳川13代将軍・家定に嫁ぐ道中の天璋院篤姫がこの本陣で宿泊した際、姫が「ゆべし」を大層気に入り、100本以上も所望されたとの古文書も残されているそうだ。

 

宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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宿場町・矢掛

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 「ゆべし」と言うお菓子は、東北から以南の全土に広く知られていて、柚子をベースにした昔からのお菓子だが、その形や製法、配合は土地それぞれで異なり、色々なバリエーションが有ると言う。

柚子に餅米、白みそ、砂糖をベースとしたペーストを、柚子の中身をくりぬいた中に詰め蒸しあげたあと天日干しして仕上げた「丸ゆべし」、蒸した後板状に延ばし竹の皮にくるんだ「ゆべし」、干し柿をくりぬき袋状にして中に柚子餡を詰めた物などが有る。

 

何れのお菓子も香りが丁寧に、大切に閉じ込められているので、一口含むと水あめや砂糖のほのかな甘さ、僅かに味噌味を感じると同時に、柚子特有の香りが爽やかに快く口の中いっぱいに広がる。

お茶との相性も良く、幾つでも手が伸びてしまう美味しさは、今も昔も変わらないまさに銘菓と言われる逸品である。

 

 

■ 交通案内

 

 ■ 宿場町・矢掛

 

    電車  JR伯備線清音駅から井原鉄道井原線で20分 下車徒歩10

 

    車   山陽自動車道 鴨方ICから県道64号経由で 約11Km 25



 

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