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■耐火煉瓦の町
瀬戸内海沿岸地域を東西に貫く大動脈、JR山陽本線と国道2号線は、兵庫県境に立ち塞がる船坂峠を何れもトンネルで抜けると、備前市の旧三石地区に入り込んでくる。 周囲には工場が立地し、幾つかの煙突を目にすることが出来る。多くは耐火煉瓦の工場だ。
明治30年代官営八幡製鉄の操業が始まり、また第一次世界大戦後の鉄鉱業が増加するなどによって耐火煉瓦の需要が一気に高まるとここ三石や、近くの片上・日生地区には相次いで諸企業が進出し一大生産地となった。 この付近には、レンガの材料となる良質な蝋石を産する山が有ったからだ。
これにより農業県であった岡山は、工業県へと大きく躍進することになる。 その背景は、先に玉野で創業した造船業の繁栄と相まって、ここで生産された耐火煉瓦が原動力となったのだ。 それは今日まで引き継がれ、岡山県の耐火煉瓦出荷額は301億円(平成14年岡山県統計)で、これは全国一位、そのシェアは凡そ3割を誇っていて、その主要な生産地の一つがここ三石である。
そんな町中には結構古いものも所々に残されている。 町のどこからも目にすることが出来る煉瓦会社の煙突は、明治20〜30年代に造られたものらしい。 また、山陽本線は三石の町中では盛土の上に線路が敷かれていて、川や道路を超えるためレンガ造りのアーチ橋が架けられている。 それらは3Kmほどの間に8カ所もあり、明治の本線開業当時の姿のまま残り、現在も使用され続け、「三石の煉瓦拱渠群」として、土木学会選奨土木遺産」に指定されている。
■交通案内
■ JR山陽本線 三石駅下車 ■ 山陽自動車道 備前IC下車
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