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■酒津公園
かつて昭和30年代に、伯備線の倉敷駅から2.5Km離れた地点に「酒津」と言う駅があったという。 常設駅ではなく観桜の時期にだけ営業される臨時駅で、ホームも簡単な骨組みの仮設であったそうだが10年足らずで廃止されている。 モータリゼーションの波が押し寄せ、鉄道で訪れる客が減ったからである。
そこには昭和26年の高梁川改修工事により生じた16ヘクタールもの広大な土地に開設された「水と桜」をテーマにした総合公園「酒津公園」がある。広大な公園内の貯水池の周りには遊歩道が設けられ、東屋やベンチがあり多くの桜が植えられている。 春になると染井吉野や八重桜など数百本が見事に咲き誇り、沢山の屋台も出て大勢の人で賑わう桜の名所としても知られている。
園内には、野球場や芝生広場もあり、大型のアスレチック遊具や幼児用の遊具も整備されている。 また、夏はプールが開放され、噴水を中心とした親水広場では、水遊びが楽しめ、子供たちの格好の水遊び場として人々に広く親しまれている。そんな公園の用水は、平成17年に「疎水百選」に選ばれた。
倉敷を流れる岡山三大河川(吉井川・旭川)の一つ高梁川は、古来より肥沃な土砂を大量に運び、下流域に広大な三角州を形成し農業用地を広げてきたが、軟弱な築堤で分流されていたため、度重なる洪水で流域に大きな被害をもたらしてきた。また江戸の時代から川の両側には幾つもの樋門があり、何時の時代も水争いが絶えなかったと言う。
そんな流れを一本にし、合わせて樋門を統合し、安定的に公平に農業用水を配分する目的で、この地に樋門と配水池を作る国の事業が明治の頃より行われてきた。 そして、大正時代には周辺19町村による用水組合の設立などを経て、事業は完成した。
高梁川に設けられた笠井堰から、7連コンクリートの暗梁を持つ樋門を通して貯水池には滔々と水が流れ込んでいる。 配水池の水はその南北に設けられた配水樋門を通して西岸・西部・南部・備前樋・倉敷・八ケ郷の各用水に配水され、倉敷市や早島町など周辺の農地を潤し続けてきた。樋門は鉄筋コンクリート造りで、表面に花崗岩を張った重厚な作りとなっている。 大正13年に工事は完成し、その後から今日まで今なお現存し、現役として活用されている水門としては、最多の門数を誇る国内最大級規模のもので、近代土木遺産としての評価も高い。
■交通案内
■倉敷・酒津公園 車 岡山自動車道 倉敷IC下車 国道429号等・経由で約4.0Km 公園に無料駐車場あり 約300台 電車 JR山陽本線 倉敷駅北口下車 水江循環線バスで「あけぼの橋」下車(約10分) 徒歩1.0Km
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