日本一の庭園 足立美術館
山陰本線は、米子を出ると車窓右手に中海が見え始め、10分足らずで安来に到着する。
この駅前から、有名な「足立美術館」まで、無料のシャトルバスが運行されている。
米国の日本庭園専門誌・ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニングで、「庭園日本一」は7年連続だ。
フランスの旅行ガイド・ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンでは、最高評価の「三つ星」を獲得した。
名園で知られているがそればかりでなく、ここは「槿山大観コレクション」でも知られている。
庭園の中心になるのが、本館の前に展開する「枯山水庭」である。
背後の自然の山を借景にして、中央の大岩で峻厳な山を現し、滝から流れ落ちる流水を白砂で表現している。
茶室の前に広がるのが、「白砂青松庭」で、白砂の上に小ぶりの松が三々五々配され、流れる水が池に注いでいる。
この他にも、「池庭」や「坪庭」「苔庭」などが、建物を取り巻くように配されている。
それらは絵画の鑑賞をしながら、折に触れ大きなガラス張りの窓越しに望むことが出来る。
「庭園も又、一幅の絵画」という、創業者の深い思いが込められた名園で、広さは5万坪にも及ぶと言う。
この庭園を維持管理するために、専門の庭師の他、開館前には職員も総出で掃除をするらしい。
維持するために、高木の剪定、植え込みの刈り込みは勿論、時には不似合いな植木の植え替えまで行うそうだ。
その為のスペアや、苔などのストックが別の場所に用意され、いつでもやり替えが出来るという。
こうした名園にかける熱意と情熱が、数々の勲章をもたらし、見る者に感動を与え続けている。
出雲大社への玄関駅
見えていた中海は、松江を過ぎた辺りから宍道湖に変わる。
木次線の起点駅・宍道を出ると宍道湖は遠ざかり、やがて出雲大社の玄関・出雲市駅に到着する。
島式ホーム2面に4線を有する大きな駅で、一畑電鉄北松江線の電鉄出雲市駅を併設している。
出雲大社へはこれに乗換え、途中川跡駅で大社線に乗換え、終点の出雲大社前駅まで向かうことになる。
JR出雲市駅からは、嘗て大社線が出雲大社に向けて延びていた。
同駅から直接乗り入れる急行列車や、参拝者の団体臨時列車等が頻繁に出入りしていた時期もあったらしい。
路線は距離にして僅か7.5q、終点の大社駅の間には、朝山(後の出雲高松)と荒茅の二駅が存在していた。
開業は明治45(1912)年と古く、出雲大社の参拝客を捌いてきたが、国鉄の民営化後暫くして廃線となった。
これは門前駅とは言え、大鳥居迄は1.3qも有り、参拝に利便が悪く、次第に鉄道利用が減ったのが理由らしい。
島式・相対式2面に3線を持つ地上駅は、廃線後も駅舎は残され、今では観光名所となっている。
神社風で純和風、黒瓦葺漆喰白壁木造二階建てで、出雲大社を模した重厚な外観は、ほぼ左右が対称である。
大正13(1924)年に、二代目駅舎として建てられたもので、国の重要文化財に指定されている。
また一畑電鉄の出雲大社前駅と共に、経産省の近代産業遺産にも認定されている。
駅舎内は、天井が高く、高窓が切られ、そこから明るい日差しが差し込んでいる。
天井や壁には、神社の灯籠をイメージしたのであろうか、和風ながらモダンな趣のあるシャンデリアが飾られている。
正面入口を入った、柱のない広々とした空間は、嘗ての三等待合室で、灯りと自然の陽光が暖かく照らしている。
待合室の中央には、凝った木製の「出札室」が迫り出していて、一際異彩を放っている。
室内には、当時使われていた物がそのまま残されている。
嘗て長編成の団体列車や急行列車が、頻繁に発着したホームは随分と長く、今も線路は残されている。
ここを実際に走ったその蒸気機関車(D51形774号機)が、ホームの片隅に静態保存されている。
多くの客を捌くためか、改札口も複数箇所あり、団体用の珍しい石の改札口も残されている。
ここからは出雲大社の大鳥居も遠望でき、ホームに降り立った遠来の客の心をはやり立ててきた。
その鳥居までは、ここから「神門通り」を歩いて、20分程(境内までなら30分程)の距離である。
この距離が、モータリゼーションの時代には受け入れられなかったようだ。
利用者減少と鉄道合理策で、78年の歴史に幕を閉じたが、駅舎は今も当時の賑わいを思い起こさせてくれる。
出雲大社
旧国鉄大社線の駅を出て直ぐに右折、神門通りを行き堀川に架かる宇迦橋を渡り一の鳥居を潜る。
その先で右に一畑電鉄の出雲大社駅を見て、更に進むと入口である勢溜の鳥居(二の鳥居)が見えてくる。
それを潜ると境内で、真っ直ぐに参道が延びているが、これは珍しい緩やかな下り道になっている。
祓橋を渡り、三の鳥居を潜ると松並木の参道となり、暫く行くと左手に「手水舎」がある。
その反対側にあるのが、「ムスビの御神像」である。
その先で銅製の四の鳥居を潜ると荒垣に囲まれた御神域で、正面に大しめ縄の下がる拝殿が鎮座している。
ご本殿はその奥先で、ここからは八足門越しにその大屋根と千木しか見ることが出来ない。
ここでの参拝の作法は、普通とは少し違う「二礼四拍手一礼」である。
神門通り
国鉄の駅舎完成に合わせるように開発された新しい通りを、「神門通り」という。
大社の正面、勢溜の鳥居から、真っ直ぐに大社駅前まで延びる通りである。
今では途中の堀川に架かる宇迦橋までの700m程の通りに、土産物屋、食事処などが賑やかに軒を連ねている。
近年新しい商業施設などもオープしたらしい。
島根が発祥と言われる「ぜんざい」の店がある。
名物の「出雲ソバ」を食べさせる店も、周辺を含め点在していて、昼食時には行列が出来ている。
「串焼き」「そばおやき」「おふく焼き」「ぽりぽりキュウリ」」等、食べ歩きの美味い物にも事欠かない。
元々縁結び願望の女性をターゲットにした通りだが、今では老若男女が参拝後の精進落としを楽しんでいる。
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