塔のへつり

 

「へつり」とは、断崖・絶壁・急斜面・川岸などの、険しい道を言い表す奥会津地方の方言だそうだ。

ここ「塔のへつり」は、元々は海であったらしい地だ。今から100万年以上も前から連綿と、浸食と風化続けた結果生み出された景勝の地で、その奇岩が連なる特異な地形は国の天然記念物に指定されている。

周辺一帯は大川鳥羽県立公園の一角で、紅葉の名所としても知られていて、毎年10月中旬ころから紅葉が始まるらしく、11月に入るとそのクライマックスを迎えると言う。

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

最寄り駅は、会津鉄道の「塔のへつり駅」であり、小さな無人駅である。

しかしシーズン中は混雑するらしく、普段はいない駅員が出張り、列車で訪れる紅葉狩り客の対応に備えている。

とはいえここに降り立つ客は限定的で、多くは大型の観光バスやマイカー客がほとんどで、周辺の広い駐車場はどこも満車状態で、入りきれない車が道路には溢れている。

駅から続く雑木林の道を10分ほど歩くと、「新観光名所福島三十景」の一つ、へつりの入り口である。

 

塔のへつり

塔のへつり

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塔のへつり

塔のへつり

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塔のへつり

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塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

塔のへつり

塔のへつり

塔のへつり

 

ここからは、川の向こう岸に向けて、吊り橋を渡るための下り坂が続いている。

折からの紅葉シーズンとあって、その狭い道は人の流れが切れ目もなく続く大変な込みようで、みな一様に吊り橋を渡った先にある舞台岩を目指して歩いている。吊り橋の上で写真を撮ろうと立ち止まると、橋が大きく揺れるのであろうか、嬌声が何度も辺りの静寂を切り裂いている。揺れること自体も面白くて、楽しんでいる風だ。

 

辺り一帯の山々では、木々が黄や茶や、赤い色に燃え上がり、そんな中所々に緑の交じった山肌は見事な迷彩色を見せている。

そんな色鮮やかなグラデーションに包み込まれ、見え隠れしながら林立する白い奇岩の数々が、流れもなく碧く淀んだ水面に、静かに影を落とす様は一幅の画を見るようで何とも美しい。

 

 

土湯・中の沢系のこけし(へつり工房)

 

「塔のへつり」の入口付近には土産物屋が軒を連ねている。

その店先には、土地の名産・名物などの漬物やお菓子や特産品などに交じり、この時期ならではのキノコや果物、マムシ酒などと言うものまで並べられ、大勢の買い物客で賑わっている。

 

そんな一角に、お世辞にも客が群れているとは言い難い店がある。

土湯・中ノ沢系伝統こけしの工人、北村和弘・寿万子夫婦の工房兼店舗である。

正面に「伝統こけし 岪工房」の看板を掲げ、店の右手はガラス戸で仕切られた工房が有り、大きく書かれた「実演中」の看板の下には、少し色あせた巨大なこけしが飾られている。

 

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

 

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

 

 店を訪ね「ちょっと見せて下さい」と声を掛けると、ガラス戸を開け工房から工人が出てきて対応してくれた。

「奥さんは、描採だけですか?」と聞くと、「いや、ろくろから全部」と言う。

聞けばこの工房は、大正14年生まれの奥さんのお父さんが始められたもので、その後を夫婦が継いでいる。

「昔は椿や槐も扱っていたが、今はイタヤカエデだけ」、「跡取りもいないので 店番しながらほそぼそと」そんな工人の言葉通り、手頃で土産としても買いやすい、尺以下のものが店先には並べられている。

今では新作の地蔵こけしや、金が増える縁起物として、なめこの置物、なめこストラップが手軽なお土産として人気だそうだ。

 

 土湯系のこけしは、嵌め込みの頭、頭部に蛇の目の輪、前髪と鬢の間にカセと呼ぶ赤い模様、胴は中央がやや膨らんだ円柱状で模様はろくろ線の組み合わせが特徴だ。

ろくろの回転を利用して頭を嵌めこむ作業は、一瞬の緊張技で、「首嵌め中の中断は、駄目にしてしまう事がある」と言う。

制作しながら同時に店番をこなしていると、「時にはそんな失敗もあるのだ」と笑いながらその苦労話を聞かせてくれた。

 

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

 

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

中ノ沢系の伝統こけし

 

 

 



 

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