大噴湯の小安峡へ

 

 新庄で借りたレンタカーで国道13号線を50分ほど走ると、湯沢市に「道の駅おがち 小町の郷」がある。

平安の女流歌人小野小町の生誕地を名乗るこの町の施設で、市女笠をイメージした珍しい形の建物が建っている。

小町ゆかりの町を名乗るところは、全国にはこの地以外にも何か所も有るようだ。

 

JR湯沢駅の先で国道398号線に入り、川連から稲庭を経て小安峡を目指す。

途中の稲庭には有名な「稲庭うどん」がある。半透明の細い麺は、腰が強いのにつるりと滑りこんで行くような喉越しだ。

昆布・鰹節・シイタケでとるダシを、薄口醤油と味醂で味付けをした付け汁で頂くうどんは、お昼には勿体ない程に美味しい。

 

小安峡

小安峡

小安峡

 

小安峡

小安峡

小安峡

 

小安峡

小安峡

小安峡

 

小安峡

小安峡

小安峡

 

 皆瀬川が長年に渡って両岸を侵食して出来たV字谷の小安峡の見どころは、何と言っても「大噴湯」だ。

国道の駐車場から階段を60m程下って、河原の遊歩道を歩くとやがてその先に濛々と立ち上がる湯気が見えてくる。

渓谷の川底からも岩の裂け目からもボコボコ、ジューっと激しい音を立てながら、98度の熱湯と蒸気が絶え間なく噴出している。

近くによると凄まじい熱気と共に、吹きあがって冷やされた生ぬるい湯気が水滴となって、容赦無くふりかかって来て、白い湯気でたちまち辺りが見えなくなる。ここは別名地獄釜と呼ばれるスポットだ。

 

 

山間の秘湯・泥湯温泉

 

 小安峡を後にして、秋の宮温泉郷に向かう真新しい林道を暫く走ると、やがて緑豊かな森が突然途切れ、いきなり白っぽい地肌がむき出しの地が見えてくる。付近には「危険」、「立ち入り禁止」、「やけど注意」などと書かれた看板がやたら多く、頑丈な柵でバリケードを築き、人を寄せ付けないようにしている。近づいてみると、そこは地の割れ目から幾筋ものけむりを上げ、辺り一面に強烈な硫黄のにおいを放つ異様な光景で、この湯けむりの正体は、有毒な硫化水素だと言う。

何年か前泊り客が雪の中に溜まった硫化水素ガスで、中毒死する痛ましい事故が起きその対応らしい。

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

 林道はその先で本線が枝分かれし、一本の狭い道が集落に入り込んでいくとそこに「泥湯温泉」のバス停がある。

温泉地ながら、公共交通の便は頗る悪く、JR湯沢駅前からのバス便は、一日三往復半しかなく、正に秘境の温泉地である。

その先には低い屋並みの木造家屋が三四軒、チョコレート色に統一されたような家屋が連なって建っている。

狭い径を挟み込むように佇む集落は何とも古めかしくて、大昔にタイムスリップしたようにみえる。

 

ここは開湯がおよそ1200年前と言われる秘湯・泥湯温泉で、僅かばかりの開けた土地に、それぞれ違う源泉を持つ、たった2軒の宿泊入浴施設が寄り添うようにひっそりと営業を続けている。

今日取った宿はそのうちの一軒、「日本秘湯を守る会」の会員旅館・奥山旅館だ。

この温泉地の中では比較的設備の整った旅館らしく、雪深い真冬でも営業を続けるのもウリの一つらしい。

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

豊富な湯と、ゆったりできる混浴風呂が自慢の宿だ。

宿の前の県道を隔てた別棟に混浴の露天風呂「天狗の湯」がある。

男女別々の入口を入るとその中に内風呂があり、その浴室の奥の扉を抜けると、高松川を望むように造られた混浴の浴槽がある。

余り濁りのない半透明と言った感じの単純硫黄泉で、そこには熱い源泉が惜しげもなく溢れている。

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

泥湯温泉

泥湯温泉

泥湯温泉

 

また宿の隣には、「天狗の湯」とは源泉の異なる巨大な野天風呂「新湯」も有る。

元々は混浴であったらしいが、今は中央で仕切って男女別々になっている。

昔病に苦しむ乙女がこの地に温泉湯治に訪れたが、余りにも透き通る温泉の湯に入れず困っていると、ある日突然天狗が現れて、温泉のお湯を米の磨ぎ汁のように白く濁らせてくれた。

乙女は喜んで毎日湯に浸かると、病は日に日に癒えていったと言う。これが泥湯温泉に伝わる天狗伝説で、その白濁した硫化水素臭が特徴的なお湯の大浴場は、日帰り客も含め多くの入浴客で賑わっていた。

(写真記事は2016年の火災で焼失する以前の姿のもので、2019年4月にはリニューアルオープンし現在営業を再開している。)

 

 

川原毛地獄

 

 宿の前の道から県道310号線に出て、その先の急坂を5分ほど登ったところに、川原毛地獄がある。

そこは、青森県の恐山、富山県の立山と並ぶ、日本三大霊地の一つと言われる場所だ。

秋田県湯沢市にあり、標高は約800mの高地に広がっている此処では、かつては硫黄の採掘も行われていたと言うが、今日では大自然のエネルギーが直接感じられることから、パワースポットとして知られていると言う。

大同2(807年)に月窓和尚が「霊通山前湯寺」を開山したと伝えられる霊地で、今でもその名残の小さなお堂が残されている。

 

川原毛地獄

川原毛地獄

川原毛地獄

 

川原毛地獄

川原毛地獄

川原毛地獄

 

川原毛地獄

川原毛地獄

川原毛地獄

 

川原毛地獄

川原毛地獄

川原毛地獄

 

川原毛地獄

川原毛地獄

川原毛地獄

 

川原毛地獄

川原毛地獄

川原毛地獄

 

川原毛地獄

川原毛地獄

川原毛地獄

 

川原毛地獄

川原毛地獄

川原毛地獄

 

白っぽい岩肌がごつごつと露出した溶岩に覆われた地面には、殆ど草木が生えていなくて、所々で地面が割れ、黄色く成り、そこからは白煙が上がり、今なお火山活動の余勢を見せている。

その為火山性のガスが噴出し、鼻をつく強い硫黄臭が辺り一面に漂う荒涼で殺伐とした起伏の地となっている。

この白っぽい地肌は、酸性の熱水で岩石が白化したもので、これが地獄を思わす光景に似ていることから、いつしかこのように呼ばれるようになったらしい。

 

 

木地山系のこけし

 

 川連は800年の歴史を誇る漆器の町で、ここで作られる漆器は国の伝統的工芸品に指定されている。

良い漆器が作られると言う事は、この地に材料となる良い木地と技が有ると言う事に他ならなく、こんな地だからこそ、古くからこけしも作られるようになった。

国道398号線で湯沢から東南へ16Km、皆瀬川に沿って開けた川連の町や、泥湯温泉の近く秋の宮温泉に抜ける林道沿いの木地山にも、昔から木地師が住みつき今に残った工人が店を構えこけし作りの伝統を守り続けている。

 

木地山のこけし

木地山のこけし

木地山のこけし

 

木地山のこけし

木地山のこけし

木地山のこけし

 

木地山のこけし

木地山のこけし

木地山のこけし

木地山のこけし

 

木地山のこけし

木地山のこけし

木地山のこけし

木地山のこけし

 

 木地山系の特徴は、頭と胴が繋がった作り付けで、最も素朴と言われる形だ。

頭を黒く塗りつぶしたおかっぱ頭や、前髪が垂れた物、赤いリボン柄などが有り、その姿は幼子の面影を連想させる。

胴模様は井桁や縞模様の着物に、前掛けのようなものに梅を描いたもの花柄なども有り、これが大きな特徴になっている。

他の系統のこけし工人の多くが、胴の底に自身の名前・年齢・地名などを書き入れるが、この地では胴の裏側に書かれることが多いのも特徴の一つである。

 

 

 



 

| ホーム | 伝統こけし | このページの先頭 |

 

(c)2010 Sudare-M, All Rights Reserved.

 

inserted by FC2 system