いざ! バリへ

 

■ 初めての国際線

 

デンパサール行きJL715便はほぼ定刻、関西国際空港を飛び立った。

管制塔からの離陸許可を待っていたのであろうか、滑走路に向き合うと、ほんの1〜2分機体は動きを止めた。

やがて轟音を轟かせ機は動き出し、瞬く間にそのスピードを上げると、窓の景色がものすごい勢いで後ろに飛んで行く。

「離陸するぞ」と思う間も無く、機がふわりと浮かぶ浮遊感が座席に伝わってくる。

座席が斜めに傾き、そのままグングンと上昇を続けているのが体感出来る。高速エレベータを、更に早くしたような様子だ。

まるではらわただけを地上に置去りにしているような不思議な感覚で、不快感が不安と共に押し寄せる。

 

関西国際空港

関西国際空港

関西国際空港

 

関西国際空港

関西国際空港

関西国際空港

 

もともと飛行機は苦手な乗物としての先入観が有った。

これまでにも国内線は利用し、その度に酔った経験もあるが、特に伊丹の飛行場の着陸時には取分け苦い思い出が多い。

当然のことながら、国内の旅行は鉄道が中心で、飛行機に乗らなければ行けない海外は、今回が初めての体験である。

そんなわけで、これまで極力飛行機は避けてきた。

なんと言っても上昇と下降の折のあの不快感は耐えがたいし、突然スーッと落ちるのは不安以外の何物でも無い。

 

関西国際空港

関西国際空港

関西国際空港

 

関西国際空港

関西国際空港

関西国際空港

 

関西国際空港

関西国際空港

関西国際空港

 

関西国際空港

関西国際空港

関西国際空港

 

関西国際空港

関西国際空港

関西国際空港

 

しかし今回は高速で昇っているという感覚は伝わってくるものの、酔う程の事も無く思ったよりも気持ちが悪くはならなかった。

街中の空港と違って海上に造られた空港は、そんなに急激に高度を上げなくても大丈夫なのかも知れない。

やがて座席も水平に保たれたようで、シートベルト着用のサインも消えた。

この頃にはドリンクサービスで貰ったウイスキーを舐めながら、窓から見下ろす余裕も生れていた。先ずは一安心だ。

 

 

■ 機内にて

 

機は順調な飛行を続けている。

しかしシートの間隔が思ったよりも狭くて窮屈なのが残念で、足が充分に伸ばせず少々痛い。

飛行機の事は良く知らないが、一つ上のクラスに乗らないと駄目らしい。

 

ドリンクサービスのウイスキーを飲み終える頃、機内食による夕食が始まった。ビールを飲みながらの親子どんぶりだ。

思えば、ウイスキーを飲み、夕食を食べ、ビールを飲み、更にその後、りんごジュースとコーヒーを飲んだ。

その上持ち込んだスナック菓子をつまみ・・・・、離陸してから此方、口だけは休んでいないので有る。

飛行機に酔うのでは・・・、あの心配は一体何だったンだろうか?

 

すっかり寛いでいると突然「シートベルト着用」のサインが点灯し、機長のアナウンスが客室内に流れる。

「機は只今フィリピンの上空を通過中、この先に非常に発達した雲があり、その中を通過する時機体が揺れる恐れが有る」と言う。

「出来るだけ揺れないよう安全なルートを通るので心配は要らない」、と言い、更に「15分から20分程で通過できるであろう」と付け加え放送は終わった。

客室乗務員が慌ただしく座席を廻り、乗客のベルトをチェックし、自らも客席と対面した席に着き揺れに備えている。

 

関西国際空港

関西国際空港

関西国際空港

 

デンパサール行き

デンパサール行き

デンパサール行き

 

デンパサール行き

デンパサール行き

デンパサール行き

 

やがて機体がビリビリと小刻みに揺れだした。極めて小さな揺れだが絶え間なく伝わってくる。

時折、機が少し落ちているのではないかと思えるように、はらわたがスーッとする不快感に襲われる。

「これだから飛行機は・・・」等と、不安から来る愚痴の一つを吐き出しながら、早く通り過ぎてくれと祈るばかりだ。

 

幸いにもそれ以上の大きな揺れも無く、15分ほどしてシートベルト着用のサインは消灯した。

乗客も安堵したのか、弛緩した空気が室内を満たし、思い思いの会話が彼方此方で始まり、トイレに立つ姿が続く。

正面のモニターには、あと2時間半ほどでデンパサール空港に到着すると表示が出た。

バリ島南部の「ングラ・ライ国際空港」は、バリ州の州都デンパサールに位置する事から、「デンパサール空港」とも呼ばれている。

 

 

■ いよいよ入国

 

気が付くと、飛行機は実に滑らかに、滑走路の上を着地に向けて疾走していた。

やがて短い間隔でドンドンと多少の衝撃音を残し、現地時間の2330分過ぎ無事着陸した。

関西国際空港からは7時間ほどのフライトだ。

 

出入国カードと税関申告書をバックから取り出す。

ビザ取得用の10ドル紙幣と合わせ、パスポートに挟みいよいよインドネシアに入国だ。

ゆっくりと座席を立ち、手続きを間違えないように人の流れに付いて行こうと思い、人々の後ろに従った。

バリは今乾季で、気温は余り高くは無いと言うから涼しいだろうと思っていた。それが以外にも蒸し暑い。

到着フロアではエアコンが余り効いていないのか、肌にベチャッと湿気が纏わり付くような感じがしてきた。

 

デンパサール空港

デンパサール空港

デンパサール空港

デンパサール空港

 

デンパサール空港

デンパサール空港

デンパサール空港

 

ビザカウンターに並び、ビザを取得する。何か聞かれはしないかと内心ビクビクしながら、用意してきた10ドル紙幣をカウンターに黙って差し出すが、先方も心得たものだ。何の会話も無く実に素早く、機械的にビザチケットを差し出してきた。

何て事は無い、実に簡単で、先ずは第一関門を無事通過する。

 

次は、入国審査だ。取得したビザチケットと帰りの航空券をパスポートに挟み用意する。

飛行機からは、人の流れに付いてきたので、長い行列の後ろに並ぶ事になったが行列はなかなか前に進まない。

皆文句も言わずただひたすら、寡黙に番が来るのを待っている。午前零時を過ぎているのにまだ大勢の旅人が入国審査を待っている。

 

凡そ30分ぐらい待って入国審査が無事終わった。

ガイドブックには、間違いなく入国スタンプが押されているかすぐに確認せよと書いてあった。

パスポートを捲ると間違いなくスタンプが押されている。

 

デンパサール空港

デンパサール空港

デンパサール空港

 

デンパサール空港

デンパサール空港

デンパサール空港

 

 

■ 悪質ポーター

 

次は荷物の受け取りだ。入国審査に手間取った性か、ターンテーブルは既に停まっていた。

引き取り手を待つ幾つものトランクが、テーブルの脇に降ろされ林立している。

その中から、自分のトランクを捜し出し、出国の時受け取ったクレーム・タグと見比べ慎重に確認する。

とその時、数人の男たちが「OKOK」「ハイハイ」と口々に叫びながらその荷物に群がってきた。

 

突然のことで、何が起きたのか飲み込めない。男たちが「間違いないか?」と流暢な日本語で確認をしてくる。

タグを見せながら「間違いない、これだ」と答えると男は、「OKOK」と言いながらトランクを塊の中から取り出した。

初めは空港の荷物引取り係員のサービスかと思っていた。ところが男はそのままトランクを転がし、出口に向い歩きだした。

あれっ!と思ったとき、男は既に2〜3メートル先を足早に進んでおり、急いで後を追う形になった。

追いついて、荷物を取ろうとすると、男は「OKOK」と言いながら、トランクを放そうとしない。

 

その時初めて気が付いた。

ガイドブックには、“荷物を勝手に運んでチップを要求する悪質なポーターがいる”との記事があった。

今正にそんな局面に遭遇してしまったようだ。出口が近づくと、男はやおらポケットから日本の札を取り出し、それを見せチップを要求してきた。「5,000ルピアで良いか?」と聞くと、「これをくれ」と日本のお札を目の前に差し出した。

 

こうして、朝から何人もの日本人のトランクを運び、荒稼ぎしてきたのか。

関係官庁も国際空港でのこのような行為を黙認しているのであろうが、腹が立ったがトラブルは避けなければならない。

渋々トランク三つ分の3,000円を差し出した。

シャツの胸ポケットにねじ込まれた、二つ折りされた1,000円札は、結構な枚数がありそうな束だった。

 

 

 



 

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